2013年10月16日水曜日

1116『えにし庵感月祭FINAL/ Moon Light Celebration 2013 』

<えにし庵感月祭FINAL/ Moon Light Celebration 2013>
大阪平野東端、生駒山系飯盛山のふもとに、20年ほど前に完成したアートスペースえにし庵。室町時代風の日本建築の母屋と、野外能舞台をしつらえた庭とで構成された、大阪郊外の新興住宅街の一角にありながら、閑静なたたずまいを失わない、趣のあるアートスペースだ。
このえにし庵を会場に、月のある日を選び、毎年秋に開催されてきた「月を感じ、月光に感謝する祝賀会」が「えにし庵感月祭 Moon Light Celebration」で、会場完成とほぼ同時期から、天然肉体詩人・藤條虫丸を中心としたアーティストの手によって開催されてきた。
参加するアーティストは、音楽家、舞踊家、演劇人、美術家、照明家、写真家、劇作家、演出家、鍼灸師、食文化研究家と多岐にわたり、それぞれの分野の専門性を生かした卓越した技術と、ジャンルの垣根を越えたハイブリットな実験精神とを併せ持ったプログラム編成から、別名「大人の文化祭」とも呼ばれ、参加者からは、秋の恒例行事として長らく愛されてきた。

今回は、この感月祭のFINALである。

5歳から67歳まで、40人を超える参加アーティストが、日本各地および韓国から集結し、かがり火燃える能舞台を照らす月光の下、いのちある喜びを、歌い、踊り、奏で、演じ、祈る。

プログラムは午後2時から始まる。

2時間近い鍼灸師・椿野央師による「椿菴のあんま教室」によって、観客、スタッフ、出演者の分け隔てなく、心身のバランスを整え、リラックスして祭りに臨むことができる寸法だ。

4時からは「Afternoon Session」。日頃の表現活動ではなかなか顔を合わすことのないアーティスト同士の組み合わせが数組登場し、簡単な打ち合わせだけでセッションライブを行う。ここでしか見られない意外な取り合わせが、表現世界を広げてゆくのが楽しい。

6時からは「おもてなし食事会」。食文化研究家・杜岡遙による、オーガニックな旬の食材を使った献立が、体にやさしく、味わい深く、こころ豊かにする。

7時からは「Moon Light Theater」野外舞踊劇『Beyond the border 越境』(構成・演出 藤條虫丸)上演。すべての参加アーティストによる、生演奏付き一大野外スペクタクル。テーマは、あらゆる垣根を無化したところに立ち現れる、深い魂の融合と安寧。地球市民の月光賛歌。

8時半からは、今回のスペシャルプログラム。「Closing prayer meeting」

日時:11月16日(土)13:30開場 14時開始
会場:アートスペース えにし庵 (大阪府四條畷市南野2-6-3)
JR学研都市線 四条畷駅下車 東へ徒歩15分(住吉平田神社下)

感月料:予約3500円 当日4000円 *おもてなし夕食&屋久島の流木付き
    19時以降入場(夕食なし)予約2500円 当日3000円
予約・問い合わせ:080-5256-2182(虫丸事務所)mushimal@notus.dti.ne.jp

出演:椿野央師(あんま教室講師)
   
福本卓道(尺八)・山本公成(サックス、竹笛)・Nori Venugopal(笛)
HIDE190C.T.M.YIDAKIJAPAN(イダキ)・三上賢治(ディジュリドゥ)
片山旭星(筑前琵琶)・向井千恵(胡弓、ヴォイス)・貴瀬修(ブズーキ)
南澤靖浩(シタール)・松久ひろゆき(サトビックヴィーナ)
Shree Katsura(タンプーラ、ヴォイス)・Sarah(タンプーラ、ヴォイス)
三好大地(和太鼓)・小松原恵(ヴォイス)・別所誠洋(タブラ)
AKI-RAsunrise(水的打楽器)・中島光一(キーボード)

神原くみ子(俳優)
デカルコ マリィ(路上ダンサー)
佐野眞紀子(即興舞踊・唄)
MAYA(ベリーダンス・唄)
ドニア誉子(ベリーダンス)

The Physical Poets (Butoh ダンス)
鳴海姫子・たいち利枝・姫ひょっとこ・金亀伊織・高谷美也子蝶々・望月幸海
めめ・玉葉・Showhey・水祈・吉永豪・Ramoo Hong・Natalie Kim

藤條虫丸(天然肉体詩人)

献立:杜岡遙(食文化研究家)

写真:取口柾弘

照明:務川智正

企画・制作:虫丸事務所 http://www.notus.dti.ne.jp/~mushimal/
協力:池田屋・劇企画パララン翆光団・Studio Ma-moon・劇団浮狼舎・Avalon Spiral

えにし庵が、まだ名前を持たず、「池田屋山荘」と仮称されていた、今から20年ほど前の創建当初、庭の能舞台は芝生なしの土舞台、植えられたばかりの屋敷森も貧弱で、会場を囲むように立ち並ぶ、隣接する家々の二階のベランダに干された洗濯物が風にたなびく様が借景として眺められた。
まさに「縁=えにし」あって、オーナーの池田屋センム・多河清さんを紹介された僕は、まだ未整備だったこの会場を使って踊ることにした。正式なこけら落しは薪能公演と決まっていたのだが、僕としては、その前に僕がやることで、手つかずの最初の一歩を、この場所に刻みたかったのだ。
その当時、僕は、アジアの辺境の旅芸で体感したいわゆる劇場的空間以外での公演に燃えていて、三重県松阪山中にある私設ミュージアムでのアートイベントプロデュースを手掛けたりもしていた。
さて、待ちに待ったプレオープン企画・虫丸独儀「猊下の月」の公演当日はあいにくの雨となり、急遽、丸太組みに透明ビニールを張った楽座を庭にしつらえ、片山旭星(筑前琵琶)・慧奏(パーカッション)の両楽士はその中で演奏し、僕は、外で雨に打たれながら1時間ほど踊った。タイトルにある月は、ついにその姿を現さないままに・・・
清めの雨だったんだろうか。その時の観客は108人で、これはすなわち、人間の深い業が作り出す煩悩の数。まさに、祓い清めの第一歩だったのだ。

あれから20年近く、僕は毎年、この「えにし庵」で踊り続けてきた。

「えにし庵感月祭 Moon Light Celebration」と名付けた、芸能だけではなく、食や癒しをまじえた、当時としては珍しい五感に心地良いアートイベントも、この会場があってはじめて発想されたものだ。
今回、FINALをうたい、感月祭を閉めることにしたのは、僕にとって、ことさらイベントにこだわる必要がなくなったからなんだろうな、と思う。五感に心地良い時間も空間も、日々の暮らしの中に、本来、普遍的にあるものだ。いや、すべては己がこころの内にある、と言った方がいいかもしれない。いま、祭りの一時の興奮に身を焦がすよりも、深い呼吸を通して、自分の心の井戸をどこまでも掘り下げ、まだ見ぬ内なる鉱脈からあふれ出る、生命力という宝物を持った自分自身と対面し、和合し、歓喜し、感謝する。

屋久島に移住して10年。日々移り変わる、天然自然の美しい情景の中で暮らしながら、僕がいま、気付いたのは、そんな感じだ。

とまれ、今回で最終回。ある意味、ほっとしている。せめて最後にふさわしく、たくさんの観客に見てもらいたい。最初が108人、煩悩の数ならば、最後は、999人の無限大数で〆たいところ。銀河鉄道999に乗って、月世界までひとっ跳びだぜ!

参加されるすべての愛すべき、大切な友人諸氏!
集客目標999人を目指して、宣伝、告知、勧誘、拉致、くれぐれも怠りなく、よろしゅうたのんまっせ!!!

2013年10月8日 台風過ぎ去った屋久島にて 藤條虫丸拝

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